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芸術人類学芸術人類学
中沢 新一
みすず書房 刊
発売日 2006-03



発掘の喜び 2007-01-17
まず最初に、自分がどういった位置に身を置いて語り出すのかを確認しておくことが大切だと思います。誰もが、できるだけ動かし難い基盤に足を乗っけて、語り出せば出すほど、そのものは遥かに見通せるパースペクティブと普遍性を帯びてくるでしょう。そこから、たわわに実った芳醇な果実を味わうことができるシアワセ。



レヴィ=ストロースやラカンのとった基盤は「言語の構造」です。私たちの生活する社会や精神の奥深くにうごめく野生の思考は、基本的に言語の構造に負っているのですが、それは言語の主語―述語構造のみから解明されてきましたが、これに中沢氏は「比喩」を加えていきます。そうすることで人類最古の哲学である神話の知性が、生き生きと現代的な意味をもって照らし出されてくるから驚きです。



芸術人類学によって、硬直した精神にゆらぎが走り、死と生、非日常=ハレと日常=ケという人間世界の二つの基本軸が、再びダイナミックに活動をはじめます。高度資本主義の社会で、息苦しさや戸惑や失望に満ちている私たちの生。その「生の全体性」を回復する、展望が示されます。この展望は、私たちの直径の祖先であるホモサピエンス・サピエンスにその起源があったのです。



もう一度、生の詩を謳いあげ、感性の音楽化と生活の芸術化がはじめられるとしたら?芸術と密接につながる宗教が新しいカタチで、蘇るとしたら?それを可能にする「流動する知性」が、数万年の眠りを破って再びこの現代にあふれ出すことになったら?



実は、その静かな希望の可能性が、私たち一人ひとりの内面に、再発見されるのを待ちながら、隠されているのです。まさに、「精神の考古学」の本。その発掘の喜びを味わうことができます。



本書の理解は、「カイエ・ソバージュ」シリーズ全五巻と手を取りあって展開されているものですから、ぜひこちらも読んで下さい!お願いします。




さらに詳しい情報はコチラ≫


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金融工学、こんなに面白い金融工学、こんなに面白い
野口 悠紀雄
文藝春秋 刊
発売日 2000-09


金融工学とは、文字通り金融の振る舞いを工学的アプローチによって解明する学問であり、情報科学とともに金融業界の活性化と新生の基礎を築くものとして、期待がされている分野だ。一方、新時代に向かう経済のなかで中核的役割を担うとされながら、高度な金融理論や数学理論に立脚していることから「敷居が高く、近寄りがたい」という声が上がっていることも事実だろう。本書は、難解な用語や数式を極力排除し、実際の金融界におけるエピソードや「ヴェニスの商人」「エデンの東」など、一般の人にも馴染みの深い文学作品や映画を例にとりながら、金融工学の本質をわかりやすく説いた入門書である。株価予想の可能性やリスクとリターンの関係など、金融構造の基本から、リスクヘッジの思想や方法を提示。さらに、1970年代に脚光を浴びつつ、すでに「終わった理論」とされてきた「ベータ投資理論」を、マーケット・リスクへの立体的な評価の側面から再評価している。また先物取引やオプションなどに関しても、発生の歴史からその構造が詳しく述べられており、現代のファイナンシャル理論を概観する手助けとなるだろう。さらにIT革命のなかで、経済をいかにとらえるかというテーマにも取り組み、「実社会へのアウトプット」という立場から金融における「工学」的視点の確立を訴える本書は、「株で儲けよう」といったたぐいの実用書的なハデさはないが、より本質的に時代をとらえる一助となるだろう。(太田利之)

5年ぶりに読みました 2007-02-24
野口先生の超整理法は10年来のユーザーで、その流れで約5年前に一度読んだのですが、そのときにはほとんど理解できなかった(笑)。

約3年前から、投資を始めて多少の金融の知識が高まった今読むと非常に面白い。

むしろ、株式等の投資を行っている人が読むべき書物だと思われる。

野口先生のことにて、すべてが理路整然と書かれていますが、所々のエッセイの部分がロスチャイルド伝説やマゼランの世界一周(も実は民間の投資によるものという話)など、非常に興味深い。いつもながらの野口ワールド。

やや、古い著作ですが、現在でも楽しめます。

特に、投資家、投機家の方にお奨めします。


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「陰」と「陽」の経済学―我々はどのような不況と戦ってきたのか「陰」と「陽」の経済学―我々はどのような不況と戦ってきたのか
リチャード クー
東洋経済新報社 刊
発売日 2006-12


内容(「MARC」データベースより)
1930年代の世界大恐慌も今回の日本と同じバランスシート不況だった。「大恐慌の教訓」を拠り所にする主流派経済学の分析・理論を日本の経験をもとに論破。戦後最長の景気拡大に潜むリスクを考察する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
クー,リチャード
1954年、神戸市生まれ。76年、カリフォルニア大学バークレー校卒業。ピアノ・メーカーに勤務した後、ジョンズ・ホプキンス大学大学院で経済学を専攻し、博士課程修了。FRBドクターフェローを経て、81年、米国の中央銀行であるニューヨーク連邦準備銀行に入行。調査局、外国局などでエコノミストとして活躍し、84年に野村総合研究所に入社。現在、研究創発センター主席研究員、チーフエコノミスト。98年から早稲田大学客員教授も務める


条件付きで★5つ 2007-01-24
クー氏の前著「デフレとバランスシート不況の経済学」の続編的な内容です。この本を読んでいる方にとっては得るものは少ないかも知れません。しかし、クー氏の説明はくどいほど丁寧であり、経済学の門外漢の方でも腰を据えて読めば、ぐっと知識がつくいい本です。


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